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「こいつはまた、たまげたなあ」
何らかの職業に就くということはその職業にとって必要なものが必ず発生するということであり、その専門的な物品が必要になるということは専門店も必然的に要り様になってくるということだ。
四つある区画のうちの一区画が、まるまる専門店の区画であったのだ。
それぞれに外装がいやに凝っており、整然とした街並みとは打って変わって、なんだかアングラな雰囲気を醸しつつも、その数およそ百以上。
これだけの専門店があるということは、それだけの数の職業があるということの裏返しだ。
自由が高いという謳い文句も、伊達や外連味で掲げられていたのではないということか。
俄然、より高度な農業ができるシステムに期待が持てる。
実際に農業用品を扱う店舗も発見することができ、店内を見てみると、予想をはるかに上回る品揃えであることは確認した。こんなものを見せられては、高まる期待を抑えることなどできようはずもない。
失われかけた熱も、自然と蘇ってくる。
残る二区画、住居区画と普通の商品を扱う商店区画。
すべての答えはそこにある。
僕は急ぎワープ装置を使って、それらの区画へ向かった。
すると先程までの苦労が嘘のようにクエストが発生した。
いわゆるチュートリアルクエストの延長のようで、クエストの説明文を見ると、なんのことはない、そこに次にどうしたらいいかという文言があったのである。
つまり先程、はじまりの平原にて僕が行ったモンスターハントのチュートリアルクエストにおいても、同じように、この場所にてクエストを受注できる旨が書いてあったということだ。
悪かったのはゲームではなく、僕でした。
かしこ。
「……うんまあ、わかってたさ。ゲームの基礎を僕がわかってないことくらい」
答えはどこかにあるとは言ったけれど、その答えを積極的に見逃していたのでは話にならない。こういうちょっとした文でも、しっかり読んでおかないといけない。
「立て看板や情報を教えてくれるブロックも、きちんと確認しておかないと後々クリアが困難になるもんな」
そういうことだ。
肝に銘じておこう。
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