ep3『犬猿の仲という言葉がぴったりなふたり』

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彼が、泣いてしまうのではないかと思ったから。 昨夜見た夢のように、ぼろぼろと。 酷く、美しく泣いてしまうのではないかと心配した。 そんなことあるはずないと分かっているけど。 「いやだな。」 自信家で、俺様で。 何事にも一番なあの会長に、涙は似合わない。 彼がほんとうに泣くことなど、きっとないのだろうけど。 もし、そんな未来がやってくるのだとしたら、俺はーー。 「とりあえず、ハンカチ持ち歩こうかな。」 そっと、ハンカチを差し出すくらいは多分許されるだろう。
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