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俺が彼の本性を知ったのは、寮の同室になった去年のこと。
初めは、無口で無表情な彼と仲良くなれるとも思えなくて、必要以上の付き合いしかしていなった。
朝食の準備も各自、自分の分だけこなして相手のことには関わらない。一日、一言も言葉を交わさない日もあったぐらいだ。
俺はそんな関係に不満はなかったし、それでいいと思っていた。ただの同室者となれ合う理由はないし、多少不便かもしれないかも、と。
だが、そんな俺たちの冷たい関係は、俺が彼の部屋をたまたま覗いてしまったことによって終わりを告げた。
悪気はなかった。と、思う。たぶん。
変わり映えしない日常のなかで、ほんの少しずつ大きくなっていった出来心。
それが心いっぱいになった瞬間。
俺はついつい彼の部屋を覗いていた。
そして、そこに散らばるあきらかに盗撮であるだろう写真の束と、自分の母親を思い出す腐ったもののオンパレードにたまらず彼を問い詰めたのは、その日の翌日の話。
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