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「おはようございます! 何をされてたんですか?」
「あぁ。......ちょっとな。」
徐々に近づいてくる二つの足音に深く腰を下げる。この時間に生徒がいるのも珍しいなと思いつつ、視界の端に映った若葉を見つめる。
定期的に中庭の手入れをしている庭師の賜物か、園芸部の働きか。
何気なく上を向いた拍子に見えた無数の若葉に、一瞬この状況を忘れて、固まる。
ぽちゃん。
そう、音をたてるように落下するそれに、おかしな幻想をみた気がして。
「あぁ。」
「っ、......!」
すぐ傍でした、同一人物とは思えないほど違う低い声に驚き、視線を下げる。
そこには案の定、悠の言うところによる王道ができあがあっていた。
無口で無表情な、自分の気持ちを伝えるのが苦手な生徒会書記。
それが、この学園での悠の役職だ。
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