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「もう行ったから、出てきていいよん。」
「あ、あぁ。うん。」
それから暫く。
悠の言った通り、先ほどの生徒が居なくなったのを確認してから、若干痛む腰を思いっきり伸ばす。
何が楽しいのか、笑顔で俺を見ている悠が目に入り、一言文句を言おうと彼を見返す。
「悠もさぁ、見つかるのがイヤならわざわざ俺をこんな場所に連れて来ないでよ。今日、ほんとは会議始まるギリギリまでベットから出るつもりなかったのに。」
風紀委員長である冬至に聞かれたら、怒声の一つでもとんできそうな理由だが、これが俺の本心なのだから仕方がない。
悠も、悠もで。
風紀副委員長である俺と生徒会の書記が友人関係なんておかしいっ、なんて言い、やたら俺との関係を隠したがるくせに、どうして俺をわざわざ中庭なんかに連れてくるのか。
これでは、言ってることとやってることが正反対というやつになるんじゃないのか。
「えぇー。だって今日こんなに天気いいんだよっ。部屋にこもってるなんてもったいないじゃん。それに桜庭くんにもこの気持ちいい綺麗な空気と、最上級の萌え話を提供してあげようと思ったんだよ!」
「絶対さいごのが一番の理由だよね。」
「おぉー、桜庭くん。分かってるね、桜庭くん。」
なんだろう。
あらかた予想できた回答なのに、名前を連呼されただけで、こんなにムカついてしまうのは、一体どういうことなんだろうか。
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