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「ーーーということで、明日の転校生は会長の代わりに私が正門まで迎えにいくということでよろしいですか?」
授業二限分にも渡った会議を締め括るようにそう言いはなった菊地副会長に、組んでいた足をほどき、椅子に座り直す。
結局あれから、滅多にしないはや歩きを披露し急いだおかげか、会議開始時間に遅れることはなかった。
だが悠の言った通り会長は不参加のようで、室内に彼の姿はない。
あの日以来、特に言葉を交わすこともなく一方的に様子を伺ってきたからか、会長の体調不良に気づかなかった自分自身に少し思うところがあったり、なかったり。
「では、そういうことで。先ほどまとめた新入生歓迎会の資料はこちらで保管しておきますので、今日はこれで解散に。......藤間委員長。」
「あぁ。それでいいだろう。今日は解散だ。」
いつもの天敵がいないせいか、若干覇気を失ったような冬至の声に部屋のパイス椅子がガタガタを音をたて始める。
「んー。やっと終わったぁー。もぉ、お腹すいたなぁー。ね、今からご飯食べにいこうよぉ。」
「......あぁ。」
のんびりと語尾を伸ばす独特の口調とともに、ホワイトボートを背に立った会計は、悠の長身にその手を絡ませ、そのまま会議室を出ていった。
友人にしては些かスキンシップがいきすぎている気がするけど、悠がいいのなら、きっとそれでいいんだろう。
部屋を出ていく瞬間、一瞬悠と目が合った気がしたが、その本性を知るだけに、やはり違和感は拭えない。
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