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と。
「おい、菊地。あいつは本当に熱を出しているのか? ただ会議が面倒でサボっているだけじゃないのか?」
三人きりになった室内で、冬至が機嫌悪く言葉を発する。
会長が熱をだした。
今まで聞いたことも、想像したこともなかった事態に、驚いていたのは俺だけではなかったようだ。
普段、会長とは喧嘩しかしていない冬至だから、余計信じられないというのもあるのかもしれないけど。
「えぇ、残念ながら本当のことのようです。普段、滅多に他人と連絡を取らない会長が、今日直々に私に電話してきましたから。」
冬至の問いを予想していたような副会長の物言いと、今この現状に酷く迷惑しているというような表情に、自然と疑問が口をついて出る。
「ねぇ、会長大丈夫なの? どれぐらい熱が出てるとか聞いた?」
「いえ、それは言っていませんでしたし、聞いていません。ですが、あの会長のことです。大丈夫でしょう。開口一言、見舞いは必要ないと言っていましたし、こちらに風邪を移されても困りますからね。」
本心からそう思っているような副会長の声色は冷たい。
同じ生徒会メンバーなんだからもう少し心配というものをしてもいいのにと思うのは、きっと俺の我が儘なんだろう。
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