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「はっ。まぁ、そうだな。そもそもあのバ会長が自分の体調管理すら出来ていない証拠だ。」
いつもより、3割ほど薄い眉間のしわをおさえながら席を立つ冬至を咄嗟に呼び止める。今日使った資料を片付け会議室を出ていく副会長を横目に捉えて、冬至に声をかけた。
「まぁ、冬至。そんな言い方しなくてもいいじゃん。今、いろいろ忙しい時期だって俺も分かってるから、俺がちょっと会長の部屋みてくるよ。」
「は? なんで、貴様が。」
「だって会長言わなかっただけでほんとは酷いってこともあるかもしれないし。風紀の活動時間までには、戻るから大丈夫。」
「は? ちょ、おいっ。桜庭!」
後ろから聞こえる学園の大魔王の怒声を無視して、部屋をでる。
俺相手にこうまで声をあらげる彼も珍しいなと頭の隅で考えながら、そのまま一階に続く廊下を歩く。
「お見舞いの品ってなにがいいのかな。」
購買に並ぶ商品を思い浮かべながら、ぼそり呟く。
普段、熱を出した人の部屋に訪ねることもないので、一体なにを持っていったらいいのか分からない。会長の好きな食べ物なんかも知らないし。
ブレザーのポケットの中へと手を入れ生徒認証カードの在りかを探りつつ、左てに見えてきた階段を降りる。
握った鉄の棒は、想像通りひんやりと冷たかった。
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