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「連絡先教えてくれよ。いろは。
ちゃんと話がしたいんだ」
本当なぜに、いまさら?
不可解なものをみるように理玖を見上げる。
真っ直ぐ見下ろしてくる切れ長の真剣な目に少し蹴落とされて、視線を逸らした。
「すみません。本当に私、いろはなんて名前では……」
「篠原さん!おはようございます!」
「…………」
「…………」
タイミング悪いな高原くんよ。名前呼ぶなよ、せめて。
苦い顔で振り返る。
にこにこと今日も邪気のない笑顔の後輩は、私の横に並ぶと理玖に気づいてペコリと頭を下げた。
ようやく仕事の遅いエレベーターが到着する。
そそくさと中に乗り込むと、理玖と高原くんが私を挟んで両側に立った。
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