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ポーンと間抜けな音と共にエレベーターが目的の8階に到着する。
「篠原さんどうぞ?」
開のボタンを押した高原くんが先を促すように振り返る。
なんと、親切な子かの。
感動しながら降りようとして、
「…………」
すぐに何者かに阻まれていると気づいて足を止めた。
握られてる。
ショルダーバッグが、めちゃめちゃがっしりと。
「篠原さん?」
不思議そうな高原くんに、
「ごめん先に降りてて。
資料室に用事あるの忘れてた!」
苦しい言い訳をしながら、笑顔を向ける。
「早くしないと朝礼始まりますよ?」
釈然としない顔で降りた高原くんを見送り、引き留めた犯人を振り返る。
なんだか偉そうに顎で促す相手を睨み、私は泣く泣く腕を伸ばして10階の資料室のボタンを押した。
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