第4章 野良猫にミルク

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「眼鏡は?」 開口一番がそれか。 もっと聞くことがあるだろうとツッコミたかったが、視力が悪い人間にとって見えないってことは最大の恐怖なのかもしれない。 彼の無礼を寛大な心で許しながら、身体を起こして靴箱の上の眼鏡を取り上げる。 のっそり立ち上がった木月さんは多分身長が180センチくらいだ。 150センチの私よりかなり高い。 下から見上げる形になって、無意識にこくりと唾を飲み込んだ。 寝ている時も端正な顔だと思ったけど。目を開けたらさらに2割増しだった。 相変わらず髪はボサボサで、無精髭もはえていたけど、鋭い切れ長の目と形のよい意思の強そうな眉がワイルドさを醸し出していて。 ちょっと……と言うかかなり好みの人だと思った。
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