第5章 毛並みのいいゴールデンレトリバー

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「じゃあ、篠原さん。ランチ行きましょうか」 午前の業務が終了した途端、高原くんが、いい笑顔で私を振り返った。 ザワッと室内がざわめく。 そりゃ地味な30代お局が、会社のアイドルからランチのご指名を受けたら、悪目立ちだろう。 出来ればもっとコッソリ誘って頂きたかったが、高原くんが空気読めないのはデフォルトだから仕方ない。 多少声が大きすぎるのも元気な証拠だ。よろしいよろしい。 若い男には甘い、おばちゃん思考でよいしょと立ち上がる。 キラキラした目で私を待ち受ける高原くんに、苦笑いを浮かべて近づこうとすると、目の前をはやぶさのような黒い影が横切った。
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