過去の男 田中さんちの孫、室岡葵くん登場

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「なんだよ、その百面相。 なんか文句あるんか?」 腕組みした葵くんが、偉そうに顎をあげて睨み付けてくる。 「……別にー」 こんなこと昔もよくあったなーとちょっと感慨に耽ってただけだ。 私が近所の男の子たちと遊んでた時とか。 塾で知り合った男の子と買い食いしてた時とか。 葵くんはいつも超絶不機嫌になって、私の容姿を罵倒する発言をしてきた。 あんまりしつこいから『もしかしてヤキモチの裏返し?』なんて思ったりもしたけど。 私の楽観的見解は、彼に初めての彼女ができたことで木端微塵に崩された。 葵くんの初カノは私ではなく、学校で一番可愛い木下ゆいなちゃんだったから。 あの時どんだけ泣いたか。彼は知らないだろう。 カエルはカエル。お姫様にはなれないんだって、勘違いした自分を恥じながら一晩中泣きじゃくったっけ。
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