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涙を拭いながら銀行の中へと。
ドスッ…
ぶつかった相手は、こないだも居た若い警備員の男。
「すっ、すいませんっ…」
私とした事が、ついつい涙に気を取られていた。
泣いている場合じゃないってば。
休憩時間を割いて、銀行に来てるんだから、さっさと給料3ヶ月分をATMにブッ込んで帰らなきゃ。
警備員は私の忙しい態度に、何か言いたそうな感じで見ている。
いやーねー!
全然あやしくないのに、ジロジロと不審者みたいな目付きで、見て来ないでよ。
私は27万の入った封筒を握り締めながら、順番を待った。
ってかさぁー…。
あんなに見られてると、身体が震えちゃうんですけど。
あやしくないのに、騙しても騙されてもいないのに、挙動不審になっちゃうよ。
一回目。
訳が分かんなくなって、訂正しつつ、取り消し。
二回目。
焦って手数料の小銭入れるの忘れた。
三回目。
「すいませんが、どちらかに振り込みされるんですか?」
後ろから声がした。
振り返ったら、警備員。
「そっ、そうですけど」
何?
親切ぶって、俺俺詐欺かなんかだと思って私を疑ってるのね?!
違いますから!!
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