1日目―あなたから始まります―

27/27
662人が本棚に入れています
本棚に追加
/557ページ
人は、あまりの出来事に突然見舞われると声も出ないのだろうか。 オレは目を見開いたまま、暫し固まっていたが、ハッと気づいた。 (入ってくる!!!!!) 「ぅ、うわあぁぁっっ!!!!」 そこまで思考が辿りついた瞬間、オレは物凄い勢いで窓を閉めた。 (早く!早く!) 鍵を掛けようとするが、焦って指が震えてうまく出来ない。 なんとか鍵を掛けるとカーテンを勢いよく引いて、ベッドへ飛び込んだ。 頭から布団を引っかぶると、誰かに悟られぬかのように息を殺した。 (落ち着け、落ち着け、アレはいったい?) (ここは、マンションの13階だ。窓の外には足場もないし、人がいるなんてことは絶対にあり得ない!!) ドクドクと早鐘を打つ心臓が苦しい。 汗がヒヤリと額をつたう。 まるで、冷水を被ったかのような感覚だった。 オレは、窓を再び確認する勇気もなく、眠れぬ夜を明かした。
/557ページ

最初のコメントを投稿しよう!