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人は、あまりの出来事に突然見舞われると声も出ないのだろうか。
オレは目を見開いたまま、暫し固まっていたが、ハッと気づいた。
(入ってくる!!!!!)
「ぅ、うわあぁぁっっ!!!!」
そこまで思考が辿りついた瞬間、オレは物凄い勢いで窓を閉めた。
(早く!早く!)
鍵を掛けようとするが、焦って指が震えてうまく出来ない。
なんとか鍵を掛けるとカーテンを勢いよく引いて、ベッドへ飛び込んだ。
頭から布団を引っかぶると、誰かに悟られぬかのように息を殺した。
(落ち着け、落ち着け、アレはいったい?)
(ここは、マンションの13階だ。窓の外には足場もないし、人がいるなんてことは絶対にあり得ない!!)
ドクドクと早鐘を打つ心臓が苦しい。
汗がヒヤリと額をつたう。
まるで、冷水を被ったかのような感覚だった。
オレは、窓を再び確認する勇気もなく、眠れぬ夜を明かした。
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