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取り敢えず、転校生を探した。
これが、俺の時と同じなら、絶対にシアワセなデートでは終わりはしないことを、思い出したのだ。
親衛隊による制裁が行われ、そして、
『親衛隊が怪我をする……なんか可笑しいよな…』
…まぁ、転校生の馬鹿力は身を持って体験してるけどさ。
あ、もしかして、こっちの転校生も族に入ってたり、するのか…?ってことは、生徒会も…?……なら、風紀も?
『いやだいやだ、めんどくさい』
俺はこの学園の外には行けないんだぞ…そっちで何か起こってても分からない。
……誰かに憑いていけば…?
『…誰にだよ…』
俺を憑れて動き回れる、霊能力が高い人間なんているか。
…あ、シイなら………やめろ。こんなことに巻き込むな。なんの為に時雨を遠ざけたと思ってる。ましてや、シイなんてきっと一般生徒。……それに、俺のことなんて、きっともう、
『…うん、族には入ってないことを祈ろう』
…っと、そうだ。転校生を探さなきゃ。
親衛隊に、被害が及ぶ前に。…これが杞憂で終わるといいのだが
恐らく、いやほぼ間違いなく、転校生は人目の無いところに連れて行かれる筈だ。
白昼堂々、制裁なんて行ったら、人だかりが出来る。というか、それなら多分、俺より先に会長が転校生を見つける方が速いだろう。そんなとこでやるなら、会長と離れて直ぐ制裁するだろうからな。
………あれ、
『人目が、ないところ…?』
あ、れ、……さっきまで居たところって………、
『……っ!廃墟だっ!!』
くそっ、なんで気づかなかった!?
急いで来た道を引き返す。転校生のことはどうでもいい。親衛隊の子達に、何か被害でもあったら、時雨に顔向けが出来ない。
これは、いずれはそうなるかもしれなかった可能性に、俺が勝手に早く導いただけ。
俺には、責任がある。
もしかしたら思い留まっていたかもしれない子達を暴走させた責任が。
大義名分をくれた時雨に、こんなもの背負わせない。
『…っ、間に合ってくれよ…!?』
俺はただひたすらに、先ほどまでいた廃墟を目指した。
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