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「こんにちは、風紀委員長」
俺はまず、風紀委員長に挨拶をした。
委員長は扉を開けた正面の椅子に悠然と座っている。しかし、彼は俺達を見て一瞬目を見開いた。
恐らく、この時間に一般生徒が来るとは思っていなかったのだろう。
因みに委員長は黒髪が綺麗なイケメンだ。吃驚していてもイケメンだった。
………くそぅ…
「あれ?お客さん?」
イケメンな委員長に軽く嫉妬を覚えていると、奥にある扉が開いた。中から茶髪の小さい生徒が現れる。此方もイケメン…と言うか美人?風紀の副委員長だ。
風紀の役職のメンバーも生徒会と同様、昨年と変わっていないので顔は覚えている。
まぁ…面と向かって会ったのは今日が初めてだけど……
「ん?あー!秋ちゃんじゃん!」
…あき、ちゃん…?
副委員長が指差したところには、苦笑いをしている宮野君がいた。
「あきちゃん?」
「…副委員長が僕の名前をそのまま読んでるだけですよ。
僕の名前のしゅうやは秋の夜、と書きますから。あだ名の様なものです」
へー……いや、そうじゃなくて!
危なく納得しかけたが、問題はそこじゃない。
「え、宮野君って副委員長のお友達…?」
そう、ここだ。
やけに風紀の副委員長と仲が良い様に見える。仲が良いのなら風紀室へ向かうと言った時に何故あんなにびくついていたのか。
その質問に宮野君と副委員長は顔を見合わせ、宮野君は困った様な笑みを、副委員長は意図が全く読めない笑みを向けてきた。
頭に疑問符が大量に浮かぶ。
「…はぁ…とりあえず座れ」
と、ここで、今まで沈黙を貫いてきた委員長が口を開いた。
宮野君はその指示に従い、そそくさとソファーに座る。
「結城さんも、どうぞ」
宮野君が自分の隣に着座を促した。言われたまま隣に座る。
正面のソファーには、いつの間にか着座したのか、委員長がいた。
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