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後悔しています。
ぼくの父は、三回目の人間ドックで病院に検査して、スキルス性の胃癌を患いました。既に、他にも転移をしていて抗がん剤治療がスタートしました。医師からは『短くて三ヶ月、長くて一年』と言われました。その一年後に脳梗塞を患い、抗がん剤治療がストップして一ヶ月余り生きました。我が儘な、ぼくの為に。
ぼくは、父に我が儘を言いました。『母と二人きりにしないで欲しい』と。彼女にとって、ぼくはストレス発散の為の人形でしかないから。父は、承諾してくれました。不安を洩らさず、辛いだろうに心配かけさせてくれなかった。懸命に生きようと、治療も嫌な顔をせずにいた父の背中が小さく見えて、ぼくは神様に祈りました。ぼくの命と引き換えに、父の完治を祈りました。
でも、叶わなかった。それ以来、ぼくは神様を信じなくなりました。最大の味方だった父を失い、心が壊れました。要因は、他にもありますが。
今、ぼくは後悔している。
父の好物を作りたかった。親孝行したかった。父の為に、何かしたかった。
愚かな子を、許してください。
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