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んですかぁ……?」
「どうしてって、何の訓練も受けてないリモを行かせられるわけないでしょう? それに貴女はシスターだから治癒魔法だって使えます」
「使えるって言ってもマザー程では……、だったらマザーが行けばいいじゃないですか!」
「私にはこの教会を管理する義務があります」
「だったら私にも教会を掃除したりお布団や修道服を洗濯したりするという責務がありま……」
「ああ、それだったら代わりにリモにやっていただきます。引き受けてくれますね? リモ」
「はい!」
明るくはきはきと答えるリモ。彼女の返事には年相応の若さが感じられた。一方リエルは駄々をこねる子どものように涙目で唸り声をあげていた。
「……どうしてもマナトさん一人で行かせるわけにはいきませんか?」
「何を言っているのです! 一人で竜と戦わせるなんてとんでもない! 自らの危険を顧みず父親を助けに行く少年を見捨てるなんて、貴女それでも神に仕える身ですか? シスター・リエル」
「うっ」
そこまで言われたら返す言葉が見つからない。リエルは諦めるかのようにへなへなと床に膝をついた。
「……分かりましたマザー・イレルダ、シスター・リエルは神に仕える身としてマナトさんの旅に同行します」
「よろしい、それでこそ我がセントポーリア教会の修道女です、シスター」
「はい……」
リエルの言葉には明らかに精気がなかった。果たしてこんなシスターと共に旅をして大丈夫なのかとマナトは不安を抱かずにはいられなかった。
「それでは寝室を案内しますのでワタシについてきてくださ……」
「おっと、その必要はねぇぜ?」
「え?」
どこからともなく聞こえてくる声。それはマナトのものでもリモのものでもリエルのものでもイレルダのものでもない。あとはダイアンがいるが彼は今瀕死状態で声が出せない。
では一体誰が? 部屋の中を見回すも誰もいない。次の瞬間、窓ガラスが耳をつんざくような音と共に割れ外から人影が入ってきた。
「……っ!?」
「きゃああああ!?」
外から入ってきた者、その姿にマナトとリモは見覚えがあった。全身黄ばんだ包帯に覆われ露出しているのは目の部分と手首より先の両手だけ。しかも両手の肌は土色で爪は黒……。そう、昼間にダイアンと闘って負けた包帯男。そして、自分達の父親を病床の身に追いやった張本人。
「お前は……!」
「知っているのですか? マナ
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