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ト」
「ああ、こいつは今日の昼間に父さんと戦った奴だ!」
「ククク、特製の毒が塗られた爪に引っかかれたダイアンが今どんな状態か様子を見てみればまさか救いの手があったとは……、だが!」
包帯男はマナトに右手の人差し指を向けた。鋭利にとがれた爪、その爪を見てマナトはまるでナイフを突きつけられたような気分に陥った。
「貴様を殺せば竜の血を取りに行く者はいなくなりダイアン・テルスターはオレの毒で時期に死ぬ……。そうすれば最強の名はこのアレグリア様のものだ! フハハハハッ!!」
包帯の下から不気味な笑い声をあげるアレグリア。その笑い声にリモとリエルとイレルダは恐怖を、マナトは怒りを感じた。
「この……!」
マナトがアレグリアに殴り掛かろうとした瞬間、イレルダがマナトを止めに入る。
「いけませんマナト! 何も持たずに戦ったら貴方も爪の餌食ですよ!? そうなったら一体誰が竜の血を取りにいくのです!?」
「……!」
「誰がお父さんを助けるのです!?」
「……」
イレルダの言葉にマナトは我を取り戻し、アレグリアを殴ろうとした拳を下ろした。だが怒りが収まったわけではなかった。そんなマナトの姿を見てアレグリアは包帯の下からにやにやと下品な笑みを浮かべていた。
「ククク、そう死に急がなくとも親子ともども仲良くあの世へ送ってやるさ」
「くっ……!」
ジリジリと獲物を追い詰めるアレグリア。マナトは反撃したい一心だったが武器がない。素手で戦ったところでイレルダの言うとおり爪の餌食になり父親の二の舞になる。だがどうすればいい? どうやってこの状況を切り抜ける? その答えを教えてくれたのは他でもない、セントポーリアの修道女たちだった。
リエルとイレルダは医務室にある本棚から本を取り出し、それをアレグリアに投げつけたのだ。いくら戦闘訓練を積み重ねてきたアレグリアといえどもこの予想外の攻撃にひるまずにはいられなかった。
「悪魔め! この神聖な教会から出ていきなさい!」
そう叫んだのはリエルだった。彼女は力いっぱいアレグリアに向かって本を投げる。さっきまで旅に出るのを拒んでいたのに一瞬で勇ましくなった。火事場の馬鹿力とはこれのことかとマナトは感心していた。そん「マナト! 貴方の後ろの柱の上に十字架が飾られているのがわかりますか?」
「……柱?」
イレルダの言葉に従いマナトは後ろに目をやる。確
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