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かにイレルダの言うとおり、マナトの後ろには柱がありさらに上に目をやると十字架が飾られていた。
「その十字架で戦うのです!」
「え、ええっ?」
イレルダの発言にマナトは一瞬たじろいだ。十字架で戦う? そんな話聞いたこともない。そもそも十字架で戦えるのだろうかと、マナトは疑問に思った。
「十字架で戦うなんて、そんな無茶な……!」
「他に手立てがあるとでも!? いいから早くしなさいっ!! こちらも本が無くなりかけています!」
「……」
確かにイレルダの言うとおりだ。考えたところで他に策は浮かばない。しかも本棚の本がなくなりつつある。マナトは、高く飛んで柱にかけられた十字架を手にしてアレグリアに向けた。それとほぼ同時に本棚の本がなくなった。
「くそ、小癪な……!」
「今度はこっちが相手だ!」
「!」
声に反応してマナトの方を向くアレグリア。そこには十字架を剣に見立て、自分に突き付けるマナトの姿があった。
「……小僧が、なめるなよ!?」
一面に本が散らばった床を蹴り、アレグリアはマナトに向かって突進した。マナトはアレグリアが振るう爪を何とか十字架で受け止めた。
「オラオラァッ!! 守ってばかりじゃ勝てねぇぞっ!?」
「くっ……!」
アレグリアの爪をふるうスピードは凄まじく防御するのが精いっぱいだった。こちらも反撃に出たいところだが出た瞬間毒の塗られた爪にやられるのではないのかという恐怖で攻撃に出られずにいた。
一歩後ろに後退した瞬間、足の裏から何かを踏んだような感触が伝わる。その瞬間、マナトの脳裏の何かがひらめいた。
マナトは低く、そして長く跳躍してアレグリアと距離を取り床に散らばった本をアレグリアに向けて蹴った。アレグリアは突然の奇襲に思わず我が身を守る。そのスキを狙ってマナトは再び跳躍してアレグリアに突きを放った。が、十字架が命中しようとした時に、アレグリアは十字架を、剣で言う刀身の部分を両手で掴んでマナトの攻撃を受け止めた。
「……っ!?」
「子供だましがっ!」
アレグリアは十字架を大きく振りかぶってマナトを十字架ごと自分が入ってきた窓に向かって投げつけた。マナトの身体は外へ飛び出し芝生の上へと着地した。
「お兄ちゃん!」
「マナトさん!」
「リエル、十文字槍を持って外へ出ましょう! マナトを助けるのです!」
「は、はい!」
イレルダの言葉に従い、リモ
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