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と激闘を繰り広げていた。その強さは世界中に知れ渡り、剣士を引退した今でもその強さは健在。ダイアンを倒し、最強の称号を手に入れんとする者が後を絶たないのである。
「……貴様がダイアン・テルスターか」
「……何の用だ、こちとら洗濯物を干したり夕飯作ったりといろいろ忙しいんだが……」
ダイアンの正面には黄ばんだ包帯を全身に覆った男が身構えていた。包帯に覆われていない部分といえば目の部分と手首より先の部分で肌は生気のない土色で、長く伸びた爪は黒く変色していた。対するダイアンは、先程まで巻割に使っていた斧を抱いて腕を組んで仁王立ちしていた。それが庭に駆け付けたマナトとリモが見た光景だった。
「! 父さんっ!!」
「なんだマナト、今忙しいから後にしろ……」
「じゃなくて一体何やってんだよっ!!」
「何って見て分かるだろ?」
そう言ってダイアンは包帯男に向かって走り出した。
「巻割だよっ!!」
包帯男に近づき、ダイアンは斧を横一文字に振る。だが包帯男はあらかじめ予測していたかのように後退した。斧は、包帯男にわずかに届かなかった。
しかしダイアンはそんなことを気にも留めず再び攻撃を繰り出す。が、それも後ろに下がることによってかわされた。攻撃してはかわされ攻撃してはかわされと、そんなやり取りが続いた。
「ちょこまかと動く巻だな、そっちから来たんだから少しは攻撃してきたらどうなんだ?」
連続攻撃に疲れたのかそれとも攻撃が当たらず焦っているのか、ダイアンの言葉には苛立ちがにじんでいた。そんな父の姿を見て、マナトとリモは胸中に不安を抱いていた。
一方包帯男は違っていた。ダイアンの攻撃をすべてかわす自分の姿に優越感に浸っていた。思わず包帯の下の口が緩む。
「それがダイアン・テルスターの実力か、噂と違って大したことねぇなぁ」
「……っ!」
侮辱を受けたダイアンは再び包帯男に向かって駆け出す。今度は包帯男に近づかず途中で高くジャンプし、包帯男の脳天目がけて斧を振り下ろした。だが今までのどの攻撃よりもスキの大きい攻撃は包帯男に斧の刀身でないところを右手で掴まれ、左手の爪で腹部を引き裂かれた。
「……っ! 父さん!」
「キャアアア……!」
リモの悲鳴と共に、ダイアンの腹部から赤い液体があふれ出す。だが包帯男の攻撃はこれで終わらなかった。包帯男は斧ごとダイアンを投げ飛ばした。ダイアンは
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