赤の試験

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ーー東堂平太郎 八屋、七海君、花村君が校門から出た 俺は校舎の脇からその様子を見ていた 「花村君は地面に何を書いたんだ?」 周りを見ても危険はなさそうと思い、花村君が居た場所へと走った そこにはコイン5枚と書き置きがあった 「これを使えば俺も合格できる……でも、九条さんは大丈夫なのか?」 そう口にしたが、大丈夫だと確信している 九条さんは俺なんかに心配されるような人じゃない 俺はコインを拾い上げ、石像へと渡した 「九条さん、先に行きます」 俺はこの地獄から開放される喜びで、涙が出てきた 「ハハッ、合格ってこんな嬉しいもんなんだな」 俺の目から涙が零れ落ちていく 拳を握り締め、生きていることを嬉しく思う 「皆、ありがとう……」 不思議とそんな言葉が口から出た 誰に言ったものか、自分でも分からなかったが、言いたかったんだ
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