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チュンチュンと小鳥の鳴き声で目が覚めた
目覚まし時計が鳴る前に起きるなんて何時ぶりだろうと、寝ぼけながらに考える
何時もと同じ朝だ
何時もと違うことなんてない
あるとすれば、時間がゆっくりと過ぎていく様な感覚があるくらいだ
「……戻ってきたんだな、何時もの生活に」
変わらぬ平和な朝を実感し、寝癖ではねた髪を手で解しながら、部屋を出て台所へ向かった
台所では父親が新聞を読み、母親が朝食の準備をしていた
「あら、龍生。今日は早起きね、朝食はもう少しでできるから座って待ってなさい」
母親に言われ、椅子に座りテレビを眺めた
何時も通りな朝の情報番組
あの試験のことなんて取り上げられていない
「……何時も通りだ」
ボソッと呟いた言葉に父親が反応した
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