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クリーム色のシーツで覆われたソファと、その前に置かれた黒いテーブル。ソファとお揃いのシーツがかけられたダブルベッド。カラオケつきの大きなテレビ。ほどよく冷房の効いた部屋。
……由紀はシャワーを浴びている。
僕はソファに腰を沈めて、その光景を想像してみる。
シャワーの下に立つ由紀を。彼女のつややかな髪や肌はたっぷりと濡れて、温かいお湯を全身に受け、弾き、肩や背中や脚を流れながら落ちてゆく。
由紀を抱いた時、どこもかしこも細い、と思った。
彼女の身体は、想像していたよりずっと、小さく弱いものに見えた。そのことにまず驚き、硝子などを扱うように大切に、僕は由紀を抱いた。
それは、今までに経験してきたどの行為とも、まるで違っていた。
どこがどう違うのかはわからないけれど、僕の価値観とやらは、きっとこの時にすっかり塗り替えられてしまったのだろう、そんなことを考えてしまうほどの衝撃だった。
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