第2話 夢の女性

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 心に鬼を宿した様に、後悔することも無い柳子がそこに居た。  ======  あまりのリアルな感覚に目を覚ました私は起き上がり、トイレに向かいドアを開け吐いた。  いつもは所々が抜けていて、吐くほどの夢は見なかったのに、今夜は違っていた。それに、女性からの語りかけは無く目覚めた。 (何なのアレは?あの女性が父親を殺したの?)  この夢には、続きがある。  燃え盛る炎の中で左腕に大きな火傷を負った柳子を誰も犯人だと思うものは現れず、噂となっている賊の犯行として片付けられた。  縁談も父の死で破談となり、傷のある柳子を妻に迎える貴族は現れることはなく、跡を継いだ兄は柳子が愛した政貞の元に嫁ぐことを許した。  出世した政貞は柳子を妻として迎え、二人は子供に恵まれた。二人にとって幸せな日々を送る。  これからも幸せな人生を送れると思われた矢先、柳子は旅先で体調を崩し亡くなった。  残された鏡は柳子を映し、語りかける【願いは何?】と。 (いつもなら牢に閉じ込められ炎が立つまでの間の夢は抜けていたのに、今回は声が聞こえた。名前と父親殺害も夢に出た。いったい、アノ鏡は何?本当に博物館に有る鏡と夢の鏡は同じなの?)
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