マリアとアレク

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「フェル、フェル!これは一体どういうこと?!」 「…ん?なに、どうした」 涼やかな朝の空気に、鋭い、けれど可愛らしい声が響いた。 「どうしたんだいマリア。こんな朝から大声だして」 「…とりま、二人ともおはよ」 「「おはよう」」 両親が俺の部屋に集まるという対して珍しくない事が起きた。 眠そうに目を擦るどう頑張っても20代後半にしか見えない父と、頬をぷくっと膨らませたこちらも20代後半に見える母。 子供の俺から見ても美しいと思う顔が歪んでいはのはかなり怖い。 「フェル?この合格通知はどういうことなの?」 「あ、合格したんだ」 「したんだ、じゃないわよ!何ここ!男子校じゃない!」 「…そうだけど」 何か問題が? そう聞くと、今まで訳が分からずぼーっとしてた父…もといアレクがクワッと肩を掴んできた。 「問題が?じゃないよフェルちゃん!男子校何て狼の巣窟何だからね!フェルちゃんが強いのは知ってるけど危ないじゃないか!駄目だよ!そんなとこ!」 「よくわからねぇけど…俺、ここしか受けてないから駄目って言われても」 「そんなのパパがどうとでもしてあげるから!男子校はやめなさい!」 おいおい。 それはもしかしなくても裏口入学ですか。 「しかもそれだけじゃないのよあなた!」 「…まさか」 「……そう、…全寮制なのよ!!」 空気が固まった。 フルフル体を震わせてるアレクから、さりげなく遠ざかろうと試みる。 「…め、だよ…」 「え?」 よく聞こえなくて聞き返すと、静かな瞳で見つめられた。 「絶対駄目だ。男子校の上に全寮制だって?駄目に決まってるじゃないか」 「アレク…」 いつものアレクとかけ離れたその姿に、俺はそれほどヤバイことをしたのかと焦ったが、何てことはないただの高校決めだ。 しかもすでに合格点済みの。 親なら喜べよ。 知ってるか? ここ偏差値高いんだぞ。 金持ち坊っちゃん高なんだぞ。 喜べ。 歓喜しろ。 「フェルちゃんなら大丈夫だろうって進路確認しなかったパパ達にも問題はあるけど、全寮制は駄目」 「そうよ、フェルちゃん。全寮制だなんて有り得ないわ」 「どうして?別にいいじゃんかよ。何が駄目なわけ?」 そう何回も頭ごなしに否定されて、流石に両親には優しいと自負してる俺も苛々してきた。 いいじゃんよ、男子校の全寮制。 「だって!だって!だってフェルちゃんっ!!」
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