第3章 ー絶望ー

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 ーー 誰か助けて!!  少女は身を震わせながら心の中で叫んでいた。ゴーストタウンと化した街の中で、物音に耳をそばだて[危険]が近づいていないかを必死に探っていた。  少女の名前はアリーシャ。傍で寝息を立てて眠る妹のシャアリーを庇いながら街から街へと救いを求めてさまよい歩いていた。  妹は、まだ小さく子供だった。姉であるアリーシャが護らなければ生きていけない。そう考えるアリーシャは、妹が足枷となって居たとしても見捨てることができなかった。  アリーシャは自分達が今居る街の近くに、彼女達の助けになる[隔離地区]が あると噂で聞きそこに向かっている所だった。しかし妹は休み休みでないとすぐに疲れて体調を崩してしまうので、1日に稼げる距離は多くはなかった。  この街に入って幾つの夜を明かしたのかは定かではない。比較的に大きな都市だった街ではあるが、それを踏まえた上でも歩みは遅いと言わざるを得ない。  街は外に比べて危険が多い。だから早く抜けるに越したことはない。危険は、何も理性を失った[感染者]だけではない。  アリーシャからしてみれば、むしろ[感染者]よりも[人間]の方が怖い。 街で出くわす[人間]は[ハンター]だ。感染者かどうかは問題ではない。身を守るという大義名分の元に狩れればそれでいい。  彼らにとって略奪が目的なのだから、相手が何者であるかは関係ないのだ。
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