第6章 ー 捨てられた街 side Aー

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ブライアンがボスと呼ぶトーマスは、全ての作戦の総指揮をとる事により村のリーダーとして君臨していた。だが、何か作戦を実行している時以外は、誰も彼を特別扱いはしない。それがブライアンには衝撃だった。 自分が居た隔離地区は絶対的なヒエラルキーが形成され、下っ端に発言権などなかった。何百人と居る隔離地区と数十人で形成されたトレーラーハウス村では規模が違う事は分かっていたが、それでも違い過ぎた。 ブライアンは隔離地区の住人に対して憎しみが込み上げた。そして、どうやったら隔離地区が自滅するか考えた。 答えは容易に出た。このトレーラーハウス村に必要で、あの隔離地区の要のモノ。医者の存在だ。あの女医を奪えば、隔離地区は勝手に瓦解する。そう考えたブライアンは、トーマスとトレーラーハウスの住人に話を持ち掛け、その作戦は実行された。 「ボス、おれはちゃんとやるべき事はやった。医者も手に入れた。彼らの死は無駄じゃない。そうでしょ?」 「うるさい!クソっ……俺はどうやって彼らに償えばいいんだ!?彼らの犠牲をどう家族に説明すれば……。」 トーマスはドンと拳を塀に叩きつけながら言った。仲間の死を回避出来るような生易しい作戦ではなかったのはトーマスも理解している。
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