78人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
数日後の朝。
自転車襲撃男の一件以来、あたしの登校はカイか緋色さんつきになってしまった。今朝は珍しく緋色さんとカイが遠出するとかでかなり早い時間に学校の前で降ろされた……気をつけるよう何度も念を押されながら。
兄弟水入らずで仲良くドライブ、って訳じゃないのは知ってるけど……あたしも連れてってほしかったなあ……。
友達は好きだけど、学校はツマラナイ……特にカイのいない学校は。
(やだあたし、何考えてるんだろ)
「和藤さん」
後ろから声をかけてきたのは、特進クラスのトップで数学研究会のリーダー…
「数オリ…じゃなかった、駒崎君」
「…『数オリ』でいいよ」
「じゃ、あたしも『愛莉』で」
部室がらみの因縁で最初は漣斗に、次はカイに対抗心を抱いているらしい数オリ氏だが、あたし達女子には比較的紳士的だ。
最初のコメントを投稿しよう!