〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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生徒会長が冷静に反論した。 「生徒会規約では同好会としての活動が認められるのはメンバーが5人以上、活動記録や実績がきちんと残っている団体のみ。 部長である森村君の入学前からの記録を調べてみたら部員は幽霊で活動実績もなし。こんな名目だけの状態が何年も続いてる」 「というわけで、部長が『数学オリンピック連続出場』という輝かしい経歴を持ち、日本のみならず世界中の数学者の玉子と交流している、 聖帝永和文化部の看板とも言うべきわが『数学研究会』にこの部室を譲り渡してくれないかなぁ?」 「記録によると君達、去年の文化祭の発表が『声優アイドルユニット総選挙予想』だって?なんだありゃ」 特進軍団ががぜん勢いづく。 「生徒会が、『廃屋巡りミステリーツアー』企画を認めてくれなかったからじゃないかああ!」 漣斗の窮地は救ってあげたいが……どっちもどっち、という気もするし、カイが来るまでは蓮斗一人で開店休業状態だったのは確かだし。 「文化祭の企画だぞ!校外でやってどうする!それに生徒会自ら民家の不法侵入を認められるか」 「生徒会長が正論だと思うよ、漣斗」 いつの間にか、どこからか現れたカイが使われてない教卓の上に腰掛け、騒ぎの一部始終を涼しい顔で観察していた。
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