〈5〉舞玖と緋色

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西関東監察医務院の解剖室。 例の、鳳雛荘の天井裏で発見された成田有理の遺体について所見を求めに来た緋色が、舞玖を問い詰めていた。紅森刑事は紅森刑事で、解剖を手掛けた教授の部屋だ。舞玖は今回、助手を勤めていた。 「5年?死後5年って、どういうことだよ」 「あくまでも教授の見立てだよ。これから組織分析にかけて、遺体のおかれた気温や湿度… 条件を検証したりDNA鑑定をしたり。まだ確定じゃないし一年前後は誤差が出るかもしれない」 「舞玖!ちょっと待って!事件が起きたのは10年前だ!死後4~6年て!何かの間違いじゃないの?」 「うちの教授の腕を疑うの?これまでも迷宮入り寸前の事件を、名取裕子や沢口靖子も白旗上げそうなくらいにガンガン解決してるっていうのに」 「アニメだけじゃなくサスペンスドラマまで観てるのか…」 緋色は顔をしかめた。 「まあね。細かいアラ探しぜーんぶメモしといて、テレビ局に苦情のメール送るの楽しくて♪それに、再々々…放送で二十代の頃の沢口靖子見たことあるか?まさに眼福だぞ」 …まだギリギリ二十代のコイツの結婚式の招待状を自分が受けととしたら、ゆうに四半世紀は後だろうな…と、緋色は確信した。
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