〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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「規則は変えられない、という話をしただけで明け渡しに同意したわけじゃない。ここからは交渉だ」 カイはポケットに手を突っ込み、尊大な態度で言い放った。誰よりも身長が高いから変な迫力がある。 「何っ……!」 「お前、何を屁理屈言っ…」 カイ、アメリカ仕込みの「ディベート」ってヤツで特進クラスの子達を言い負かす気なのかな…。 どうやって? だが、カイはそのままスタスタと教室の隅のホワイトボードまで歩き、いきなり彼らに背を向けると専用マーカーで何故か、ものすごい勢いで複雑で長い数式を書き殴り始めた。 全く脈絡のないカイの奇行に唖然とするあたし達。しかし「特進クラス軍団」ならぬ「数学研究会」のメンバー…特に部長の顔が見る見るうちに青ざめ、小刻みに震え出す。
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