〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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人間技と思えない速さで意味不明の数式(あたし達にとっては)を書き殴り、見る見るうちにホワイトボードの裏側まで埋め尽くしていくカイ、凍りついたように茫然とそれを見ている「数学研究会」のメンバー、「???」状態だけど気圧されてしまいうっかり口を挟めないでいる漣斗と生徒会長。 (し…知らない記号ばっかり…) ホワイトボードの両面でも足りなくて、カイは脚部分にも小さな字で数式の続きを書き足した。しゃがんで最後に書いた文字だけあたしにも意味が分かった。 C.E.Q.(証明終わり) 「そ…それは…現代数学の最大の謎と言われている、未解明三大定理の一つ…」 「証明できた者はノーベル賞確実と言われている…」 「『チェルビダッケの定理』!!まさか、証明式が存在していたなんて!」 ビビりながらもホワイトボードに近づき、脚にまで噛じりつきそうな勢いで数式を確認する「数学研究会」のメンツに対し、カイはゆっくり腰をあげ、膝を払ってからこう言った。 「存在してないよ。公式にはまだ発表されてないからね」 「何だって!?」 「君、どこでそれを…」 「僕が解いた、と言ったら信じる?」 「まさか!君、一体誰なんだ…」
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