〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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「チェルビダッケの定理がああああ!!」 「お前!何てことを!!」 カイ、まさかのヤンキー対応。 あたし達の高校は校風は自由だが、荒れてる訳ではない。そういうのに一番免疫のなさそうな特進軍団プラス生徒会長は、捨てゼリフで何やら色々呟きながら退散した…無傷のホワイトボードをしっかり抱えて。 「ガラス代の請求は部に来るかもしれないけど…とりあえず、部室を守ってくれたことはお礼を言うよ」 ガラスの件で職員室に謝りに行ったり破片を片付けたり、が終わった後、蓮斗がカイに言った。 「別に。僕もこの『日本ミステリー大全集』コレクションは読了したいしね。あと半分は残ってるし、この部屋使えた方が便利だし」 カイは教室の後ろの机に腰掛けると、壁の棚にぎっしり詰めこまれた豪華なハードカバーの背表紙にケース入り、という古い本の列に手を伸ばした。 「は、半分!?君これもう、半分読んだの?」 蓮斗はゆうに図書館の書棚一つを埋めつくせる量の書物の列とカイの顔とを見比べた。
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