78人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
あたしと数オリはそのまま校舎までの道を歩いた。スポーツ特待の朝練の子くらいしかいない時間だ。あたしも普段は寝てる。
「特進って、ずいぶん朝早いんだね」
「本来なら、早朝特講ってやつがあるんだ。でも、今頃他人頼みで講義を聞いてるようじゃダメだ。が、お陰で自習室は空いている」
「へ…へえ…」
今日当てられる予定の英文和訳を、授業直前の10分、シエラ頼みで何とかしようとしているあたしとエラい違い…、少し反省しなくちゃ?
「昨日、ニュース観たよ。失踪事件の被害者が次々発見されてるね。表には全然出てないけど、ミステリー研究会の手柄だろ?」
「というか、ほとんどカイと緋色さんだけどね」
「どうせ無理だろうと軽い気持ちで言ってやったのに。スゴいよなあ。完敗だ 」
「勝ち負けとか…。そういうの、もうやめにしない?数オリが言い出したから事件の捜査が始まったんだし。ちゃんとお手柄だよ」
「……」
「…何か気に障った?」
「いや…逆。そういう考え方ができる君が、かえってスゴいというか…その、特進って全員相手がライバルだからさ」
「……」
特進って……思った以上に大変なんだなあ……
最初のコメントを投稿しよう!