〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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あたしはリビングのソファーでカイの寝顔を見ながら眠ってしまったらしい。 翌朝、あたしとカイはそれぞれ毛布を掛けてもらっていて、「二人とも学校よ、起きなさい」というママの声で一緒に起こされ、一緒に朝食を取った。 「何だかこうして二人を見てると、小さい頃を思い出すわねぇ」 ……普通の親なら年頃の娘が異性と一つ部屋で、至近距離で眠りこけていたら注意の一つもすると思うのだが。 あたしのファッションセンスや音楽の趣味が受け入れられないらしいママには、仲良し幼なじみ時代の二人にタイムスリップしたように映ってしまうのだろう。子離れできないって恐ろしい。 もっとも、カイの方も……普段の言動はぶっ飛んでるけど……基本的に紳士だと断言できる。そもそも、当たり障りの無いようとりあえず普段の人間関係を円滑にしておく…、という発想すら持たないカイが、人並みに恋愛したいと思っているのかさえ疑問だ。
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