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まるでどこのロイヤルファミリーだ!ってツッコミたくなるほど好感度120%の笑顔だよ!
意外だ。
緋色さんに保護者役をされるだけで、カイは嫌な顔をするのに。
「ほほほ、昔から家族ぐるみの仲じゃないの。私も息子みたいに思ってるわ。何より愛莉の恩人ですもの。
生まれ育った街に戻ったと言っても、もう十年も前なのよね。わからないこともたくさんあるでしょう。遠慮なんかしなくていいのよ」
「カイ、警察官舎で二人暮らしなの?昔暮らしてた家は?」
家を出てから、あたしはカイに聞いた。……昔の記憶でおぼろげだが、花好きのママが造ったお洒落なイングリッシュガーデンがあって、綺麗な花が一年中咲いていた……
「手放してはいないよ。アメリカに渡る時、賃貸に出した。その時の家族がまだ住んでるし、緋色は単身で転勤族。家の管理まではできないからしばらくは寮で十分だって。まぁ、僕が転がり込んで来たのは想定外だったろうけど」
「そうなんだ」
あの頃よりずいぶん新しい家やお店が建って、もう道さえもおぼろげにしか思い出せない思い出の場所。まだ守られているとわかって、あたしはほっとした。
「緋色には狭いって文句言われまくりだけど、ヤツだってそのうち本庁に戻るだろうし」
「そうしたら…、どうするの?」
「そうだな…愛莉の家にでも下宿させてもらうかな」
「え」
あまりに無邪気なカイの笑顔に思わず後ずさる。
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