〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

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「冗談だよ。学校の近くにどこかアパートでも借りる」 「一人暮らし?大丈夫?食事とか…」 「何とかなるよ」 …ならない、と思う。 カイって話を聞けば聞くほど食べる事に無頓着なんだもの。 「彼女でも作って、ご飯作りに来てもらえば?」 思ってもいない言葉が口をついて出るあたし。 「面倒臭いよ。そうだ、愛莉が来てよ」 「何であたし…」 やっぱり恋愛する気無し…、か。ほっとしたような複雑なような。 しかも今の、「彼女作るの面倒臭いから愛莉が料理して」と聞こえるのだが。カイにとってのあたしの立場って一体……。 小一時間ほど問い詰めたいけど理屈で勝てる気がしない。 「あ、今にも餓死しそうとか、そういう時でいいよ」 自覚はあるんだ…… 「さすがにそこまで放っておけないよ。てか、そこはなるべく自分でちゃんとしようよ」 「一日一食は学食で摂れる計算だし、それに緋色も休みの時には来てくれるって言ってたし」 ……緋色さん、何だかんだ言って過保護なんじゃないのかな?
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