〈1〉ミステリー研究会、存続の危機

9/28
前へ
/173ページ
次へ
「実体がないだって!お前ら、バカなの?この通り部員もちゃんといるし、活動だってしている!」 漣斗が珍しく声を荒げて反論した。 シエラにつられてあたしも精一杯コクコク頷く。 「どうせ女子連れ込んでデレデレダラダラつるんでるだけだろ」 「まったく。何という羨ま…いや、いかがわしい会なんだ」 「いかにも頭の悪い御曹司の思いつきそうなことだな」 「ダマレ!!勝手に決めつけてんじゃねえよゴルァ!このガリ勉ムッツリ!!」 日本のアニメとヤンキー映画をこよなく愛するシエラが、黙ってさえいたら金髪碧眼の歩くビスクドール…という外見と全くかけ離れた啖呵を切って間に割り込んだ。……特進クラスの連中が一瞬ひるむ。 「シ、シエラ…話し合いで解決しなきゃ。ここは漣斗に任せよう」 あたしは慌ててシエラの「海人」ロンTの袖を引っ張った。 …前々から思っていたのだが、シエラの日本語の学習環境には色々問題がありそうな気がする。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加