第1章 つながる

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「…おい、絶対に一部始終見てたろ?」 そう言って彼はいつもは見せない子供のような顔で笑った。 そして、ふわりと風を運んで私の目の前に着地した。 私との距離は50メートル程はあった。それを一瞬で… 「千陰に怒られるんじゃねぇの?」 そう言いながら、私の腕を掴んで立ち上がらせる。 私の知っている宇月千陰くんではない…気がする。 でも、さっきまで一緒にいたのは宇月くん… 「おーい。大丈夫か?怪我とかしてないか?」 えっ… というか… 今まで宇月くんだと思っていた人って… だめよ!今までの宇月くんが好きだったからって、今の宇月くんを嫌いになっちゃ!こっちの宇月くんが本物なんだわ! 「おい!変なこと考えてんだろ?」 「いてっ!」 頭を叩かれた… 痛い。 とっさに距離をとる。 「あなた、誰よ!痛いよ!」 きつく睨み付けたつもりが笑われた。 「そんな顔で怒ったって怖くねぇよ!さっ!帰るぞ!」 そう言って頭をなでる彼。 やっぱり別人だ。
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