第1章 つながる

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帰ろうとして、送ると言った彼はやっぱり別人のようだった。 そもそも、私の知っている宇月千陰という人は送るなんて言わない。 「あの…どなたなんですか?」 「千陰だろ」 外は日が落ちはじめている。 そんな中長い沈黙が続く。 「華都ちゃんさぁ、これ」 彼はふと、振り向いて私に小さな紙を渡してきた。 「…何ですか?これ…」 「もし、これから生きていく上で今日のことが夢にたくさん出てくるとか、調子が悪くなったりしたらそこに電話して相談すんの」 今日のこと… 「宇月くんが雑技団を目指しているってこと?」 「はぁ?」 「大丈夫だよ!みんなには黙っとく!これも事務所の名刺でしょ!あんな凄いの見て、トラウマにならないよ!頑張ってね!」 彼の顔には呆れているような、あわれむような… そんな表情が貼り付いていた。
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