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次の日、相変わらずな朝を迎える。
いつもと同じ時間に家を出る。
「おはよう!宇月くん!」
しばらく歩いた時だった、見覚えのあるふわふわな髪の毛…三上さん。
「…おはよう…どうしたの、こんな所で…」
「別に待ってたっていいでしょ?」
三上さんはそう言ってどんどん先に歩いて行ってしまう…
「ちょっとー!宇月くん!早く行かないと遅れるぞー!」
その笑顔に僕は少しだけ勘違いしそうになった…
久し振りの友達の感覚。
僕は…独りでいなきゃいけないのに。
学校にはどうやったってペースが同じなので一緒に着いてしまった。
教室にも一緒に…
昨日のことがあるだけに教室が少しだけざわつく。
そして、目ざとくそれを見つけるのは昨日と同じ女子。
「華都!昨日はあんなこと言ってたくせに、やっぱり付き合ってんじゃないの?」
僕が再び席を立ち上がろうとした時だった。
三上さんが僕とその女子の間に割って入った。
「えみり?私と宇月くんは"友達"だよ?変な詮索は、やめてくれるかな?」
三上さんの顔は見えなかったけど笑った気がした。
「…それに、いくら宇月くんのことが好きだからって私に嫌がらせするのやめてくれる?」
「……ちょっ!!や、やめてよ!勝手なこと言うの!!」
えみりと言われたその女子は、顔を真っ赤にして教室を出ていった。
そして、それを追う取り巻きの女子逹。
教室では笑い声や拍手などが起こっていた。
「ごめんね、宇月くん!騒がしいよね?」
「いや…いいんじゃない?」
少しだけ…
彼女なら…彼女になら僕の気持ちも分かるのかもしれないと思ってしまった。
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