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次の日から登校時、三上さんと一緒になることが増えた。いや、増えたと言うか…
毎日いるのだが…
そしてまさかのお昼ご飯まで一緒に食べている。
「やぁ!」
重たい扉が鈍い音をたてるのとは全く比例しない明るい声が屋上に響く。
もちろん、三上さん。
黒影が教えたみたいで、唯一の安らぎの場所がばれてしまった。
「宇月ー!卵焼き多目に作ってきたー?」
三上さんの後ろからそんな一言を投げかけてくるのは、山仲紗英(ヤマナカサエ)陸上部のエース…らしい…。
腰までありそうな黒髪をなびかせ、切れ長な目もあいまってぱっと見、綺麗と言われる部類なのかもしれないが、その見た目とは裏腹になかなかガサツだ。
三上さんの親友らしくて、僕が三上さんを泣かすことが無いように、監視するためという名目で、僕の卵焼きを奪いに来る。
「君の為に手間をかける必要性が分からないのでいつも通りだよ」
笑顔でそう返した…が、
「あっそ!いただきー!!」
気付くのが遅かった…
まさかの二個取られた…
「あ、俺もー!」
どこからか、手が伸びて来たと思ったら最後の一個も取られた。
手がのびてきた方向を見ると…
桧原陽平だった。
友達の友達は友達なんだぜ!
等と言うこれまた意味のわからない理由から陽平まで、時々昼ご飯の時に屋上に上がってくるようになった。
「私も卵焼き食べたかったー!」
なんとも、残念そうな顔をする三上さん…
「…じゃあ明日、多目に焼いてくるから…泣くなよ?」
「あたしの時と180度態度違ってない?」
山仲のことは置いといて三上さんが嬉しそうなので良しとしよう。
「…俺の分も入れとけよー」
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