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何かが落ちたその方向を探す。
狙っていたモノか…
少し身構える。
だがそこにいたのは想定外の人だった。
「…や、やぁ…」
「…三上さん」
工場の奥、よどんだ闇の中一斗缶が重なった後ろには同じクラスの女子。
何故?
「何でこんなところにいるの?」
「…いやぁ…なんとゆうか…」
彼女の表情はいつもと違い曇っている。まるで、なにかを隠している子供のように。
「ここがどうゆう場所か知ってるの?」
「…知らない」
【千陰!後ろ】
黒影の声で、来た方向である入り口に体を向ける。
「なにっ!?あっ!ここの責任者のお方ですよね!すみません!私逹すぐ出てくんで!ほら!宇月くん、行くよ!」
ハッとしたように彼女は走り出そうとするので、それを止める。
「えっ!…宇月くん…あれは相当怒っていらっしゃるよ…早く出ないと…」
小声で僕に耳打ちしてくる彼女の目にはそう映っているかもしれないけど、あれは違う。
確かに作業服のようなものを身に付けて一見管理者のようだが…
ふらつきのある足どり…
肌が白く血の気が無い…
足下の影が、異常に濃い。
そして、まるで自分の意識が存在しない。
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