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「こちら経営のマニュアルとなります。それからこっちが納品書で…あとそれが契約書です。それと…」
「もういい分かったから一旦ストーップ!」
シャンデリアがある洒落た個室に居るのは、ちょっと強気に見える女の子と見るからにヘタレそうで見た目バカっぽい男
「なんですか?そちらが教えてと言ったから教えてあげてるんじゃありませんの。」
「そ、そんなに一杯覚えられないですから、僕の頭がパンパンになっちゃうからちょっと待ってください…。」
「もう、だらしないですわね。さっさと終わらせて海に行きたいですわ。」
手に持っていた書類を机におき窓辺まで歩く
ただそれだけの動作なのに可憐かつ、優雅
全ての動きに気品が感じられ、動くたびに揺れる黒髪はまるで清流のようである。
「さあ、休憩は終わりですわ。これをさっさと覚えて遊びに行きましょ。アッチの住人さん?」
おどけたような口調で話しているが、至って真面目な顔な女の子。というより、顔の表情があまり動かないのかもしれない。
「もう、その呼び方やめてよ。僕の名前は【日夜練】だって言ったでしょうに、アッチの住人だと他の人も沢山居るから間違えちゃうよ。」
「そうでしたわね、なら…レンちゃんと呼びましょうか。」
「恥ずかしいよ!16にもなってちゃんは恥ずかしいですから!本当に勘弁してください。【チノ-マリーメルン】様。お願いします。」
練が割と本気で懇願しているのも露知らず、
「だーかーら。本名ではなくて、ちーちゃんとお呼びなさい、と何回言えばいいのかしら?」
「でも買えるこの年でちーちゃんとかコッチが恥ずかしいし…」
「こ、コッチだってその…恥ずかしいし…でも、もっと距離縮めたいし…」ボソボソ
若干チノの顔が紅くなったが練君は全く気付かなかった。
「え、何?ほとんど聞こえなかったからもう一回お願いします。」
「うっさいですわよ、バーカ!」
叫びとともに飛んでくるイスやハンガー、
「何!?なんで、どういう事なの!!ちょ、待ってくださいよ!チノ様あああああぁぁ…。」
問いかけむなしく、練君にイスが命中するのでした。
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