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「......佐々木さん何故、私に神隠し事件の事を聞くのですか?
祐一の追及を受けて、静枝は暫しの沈黙の後、落ち着いた声で、祐一に問い返した。
(――――どうする!?
どう答えたらいい??)
祐一は不意に放たれた予想外の問いに、少し戸惑ったものの腹を割って話そうと、提案したのは自分自身である。
ならば....素直に話すしかない。
祐一は、そう思い直し静枝の問いに、答えるべく口を開いた。
「古谷さん、行方不明になっている田渕洋介は、俺にとって職場の後輩ってだけでなく、故郷で兄弟同然に育った仲なんです。
それに、洋介には結婚を誓った女性が
いる....。
だからもし、少しで知ってる事があるのであれば是非教えて欲しいんです!
俺は何としても洋介に、無事に戻ってきて欲しいから........。」
祐一の悲痛なる言葉に、静枝は暫しの思案の後、再度祐一へと問いかけた。
「佐々木さん........。
こう言っては何なのですが、多分....。
私は貴方の期待には、応えられないと思います。」
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