蠢く影

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――三月十五日:午後八時・西野森東横町周辺―― 大量神隠し事件二日目――。 「おい、山口【ヤマグチ】ちゃんと歩けよな――!?」 「分かってますって....。 しかしなあ華院迦~【カインカ】。 お前さん....本当、あんまり飲まないだな――。 とても~付き合い悪いぞ~おぃ?」 「仕方がないだろ――? 嫁と子供が、俺の帰りを飯も食わずに、待っててくれてるんだ。 第一、お前みたいに泥酔状態で、帰ろうものなら嫁の雷が、落ちるんだぞ! 分かるか!?」 「何言ってんのお前!? あんな美人の嫁さんに、怒られたりヒールで踏まれるような事があったらなぁ――。 俺なんぞ、泣いて喜んじゃうよ?? そこを分かっているのか、この幸せ者が――!?」 「........お前のマニアックな性癖なんぞ、分かってたまるかっつーの!!」 俺は、職場の同僚である山口牧夫【ヤマグチ・マキオ】と居酒屋に飲みに行った後――。 妻:恵【メグミ】と愛しの我が息子:大輝【タイキ】が待つ自宅へ、帰るべく西野森東駅へと向かっていた。 山口の方はと言うと、未だ独身ライフをエンジョイしつつ俺と共に、実家へと帰る途中だったのである。
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