蠢く影

66/66
91人が本棚に入れています
本棚に追加
/513ページ
だが、それ以上に俺の心に、多大な恐怖を感じさせたのは――。 怪物の顔であった。 (な....何で、この化け物....太一と同じ顔をしているんだ――!??) 訳が分からない事は、言うまでもないが、何より恐ろしかったのは俺が太一と同じ顔した何かを、殺そうとしてる事であった。 (コイツは、太一じゃない! 化け物だ――!!!) 勿論、こんな姿をしたモノが、太一であろう筈がない。 頭の中では、分かっていた....。 だが、俺の心がそれを納得出来ず....。 悲鳴を、上げていたのである。 しかし幸か不幸か、俺には悩んでいる余裕など無かった。 「京介――。 早くズラかるぞ!!」 やや、離れた位置より俺の耳に、入り込んでくる孝之の声。 「あぁ、了解だ――!」 やや大きめの声で孝之へと、そう言い放つと、俺は化け物の頭部を再度バットで殴り付けた――。 そして....。 俺は全速力で、その場から走り去ったのである....。
/513ページ

最初のコメントを投稿しよう!