91人が本棚に入れています
本棚に追加
/513ページ
――――――
私はひたすらに、上を目指していた。
後ろから鳴り響く、奇声と不気味な水音――。
その水音が私達に、徐々に徐々にと近付いてくる....。
だが、その時だった。
その先に示されし――。
一筋の光――。
目指す先より私達に向けて、光が射し込んできたのである。
そして直後、私達の前方より聞き覚えのある声が響き渡った――。
「古谷さん、佐々木さん、早く――!」
「もう少しです!
頑張って――!」
それは進藤さん達の声――。
二人が、私達を呼んでいたのである。
「古谷さん....もう少しです!
頑張りましょう!」
佐々木さんが、私の右手を握り締めながら言う。
その直後。
佐々木さんは、私の右手を引きながら一気に階段を駆け上った。
その時に私は、不意に気付く――。
何故か、後方から迫ってきていた水音が聞こえない....。
そして....私達が階段を上りきった瞬間、強烈な光が私達を照らし出したのである。
(こ、ここは....屋上?)
私は呼吸が乱れている事も忘れ....私は、周囲を見据えた。
燦々と太陽の光が射し込み――。
・・・・・小鳥が囀ずりが、聞こえてくる。
その時、私は漸く確信した....。
悪夢の一夜に、終わりが告げられたのだと――――。
最初のコメントを投稿しよう!